数年前、私は会社で立場が上がり、いわゆる中間管理職になりました。
はじめて部下を複数名受け持った時、仕事の進め方に戸惑いを覚えました。
それまでは、上司から指示されたことや、ある程度自分でできる業務を進めていけば問題はありませんでした。
ところが、中間管理職になってしばらくの間、仕事の仕方や勝手がそれまでと違ったことで「どうしたらいいのか分からない・・・」と、かなり悩んでいました。
そんな時、とある本と出会いました。
「脳と気持ちの整理術」という書籍でした。
内容
この本を読んで、
- どんな時に人は悩むのか
- 悩んだ時、どうすべきか
- やる気が出ない時、どうすべきか
といったことだけに留まらず、
- 仕事を溜め込まないようにするコツ
- 良いアイデアを生み出すために必要なこと
- どんな時に話がこじれるのか
等といった、具体的に仕事に役立ちそうなトピックも含まれていました。
本の著者は脳神経外科専門医の築山節さん。
脳神経外科医の先生なだけに、脳科学に基づいた説得力ある解説で、それでいてとても分かりやすい文章で構成されています。
不安の正体
私が書籍の中で一番共感したのが
「見えない敵」が脳を混乱させる
というトピック内の一文。
敵の姿がなんとなくしか見えていないときが、いちばん不安になると思います。
「脳と気持ちの整理術」より
うーん、と唸ってしまうほどの激しい共感。
確かに私自身の経験上、今までやったことはないけど、何となく想像がつく大変さ、面倒さのある仕事が間近に迫っている時、とてもモヤモヤした何ともいえない不安な気持ちになり、気分が沈んだことが数知れずあります。
こんな時はとにかく、現状やこれからすべきことを「見える化」して整理することが大事だそうです。
脳の中だけで処理できることは、実はそんなに多くない。
だから、メモ等に書き出して、客観的に可視化できるようにして、なるべく頭の中はスッキリさせておく。
ということが大事だそうです。
やる気が出ないとき
やる気が出ない時、どうしたらいいか。
それは、
「とりあえず、何かやってみる」
だけ。
身も蓋もありませんね。
具体的には、何か単純な作業、例えば「ある書類を5部ずつコピーする」とか「簡単な計算作業をする」とかでいいそうです。
「側坐核」という脳の器官が、やる気の発生に深く関わっていて、これを刺激する方法が「体を動かして作業する」ことである。というのが脳科学的な説明になるそうです。
この単純作業によって起こされる「作業興奮」、つまり「テキパキ作業している状態」がやる気を引き起こしてくれるのです。
確かに、自分に当てはめてみても、朝やる気なくて頭がぼーっとしていても、何か作業を始めてテキパキ動いているうちに、知らぬ間にやる気になっている、テンションが上がっている、ということはあります。
有難い、多くの「気付き」
実生活では普段何気なく仕事をしているだけでは気付かないことを、書籍であらためて認識して「気付き」を得ることは、とても貴重なことです。
ここでは紹介しきれませんが、「今日の自分」で出来ることをやったら、あとは「明日の自分」に任せる、といった考え方や、「他人の脳で考える」といった考えなど、これまで自分にはなかった考え方や今後の生き方に多くの気付きが得られるとても良い書籍です。
今でも読み返し、あらためて気持ちの整理の仕方を思い出すため、手元に置いています。
中間管理職になった不安、悩み、とタイトルにはしましたが、もちろん万人に向けてオススメできる良書です。
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